作品



1976年東京生まれ、東京映像芸術学院卒。
2001年より企業広告やミュージックビデオなどの映像ディレクターとして多くの作品を制作。
2018年より絵画表現を中心とした現代美術家としても活動を開始。
絵具は、再現を阻むノイズである。
それを用いて描けども、キャンバスへイメージを定着するにはあまりにも作家の意識や手癖が入り込み、写真や映像メディアでのドキュメンタリーに比べると随分と正確性に欠けることになる。つまり、絵具で描かれたものはフィクションであり、疑うべきなのである。
ノイズとは何か?例えばかつて主流であったVHSテープのそれのように、映画鑑賞のひとときを邪魔する存在。しかしそれは瞬時に鑑賞者をストーリーから引き剥がし、冷静に作品を見つめ直す時間を与えてくれるものでもある。描かれていたものは本当に自分が受け取っていたようなものであるのか?作品に映っている事象や事件、問題を疑い見つめ直すことを促すのだ。
絵具をノイズと捉え描かれる私の絵画は、像を正確に写し取ることを目的としない。したがって被写体は大きく歪み、参照元が判別しづらいほどに抽象化される。むしろ大切にされるのは、その描かれるものよりも描くプロセスにあり、即興的に構築することで作家のフィルターを通した問題提起を試みている。
疑え、見つめ直せ、熟考せよ、と訴える絵画は、作家である私ですら信じるなと言っているかもしれない。
<展示歴>
個展:
2022 COUNT DOWN, haco – art brewing gallery –, Tokyo
2020 GLITCH, RIGNA TERRACE TOKYO, Tokyo
グループ展、アートフェア等:
2021 FOCUS LONDON, FOLD Gallery London, London
2021 Independent Tokyo 2021, Tokyo Metropolitan Industrial Trade Center, Tokyo
2021 IAG AWARDS 2021, IKEBUKURO ART GATHERING, Tokyo
2020 SPIRAL INDEPENDENT CREATORS FESTIVAL 21, SPIRAL, Tokyo
2020 Dream – On the Road to Basel, ART FAIR FRAME, Basel
2019 UNKNOWN ASIA Art Exchange Osaka 2019, Osaka
2019 FRAME 2019 International Contemporary Art Fair, Paris
etc.
<受賞歴>
2021 IAG AWARDS 2021, Prize
2019 UNKNOWN ASIA Art Exchange Osaka 2019, Reviewer Prize
2019 ARTMOVE Japan Art Competition vol.24, Prize
2008 SHORT SHORT FILM FESTIVAL & ASIA 2008 NEO Japan
2008 DIGITAL SHORT AWARD vol.1 Election
2006 SHORT FILM CONTEST C’s NEXT vol.2 Survive.8
人はなぜ、廃墟に惹かれるのか。
死に対する恐怖と好奇、失われた場に馳せる郷愁、歴史に対する畏敬など、様々なことが考えられるが、それに加えて人類には皆どこかに自殺願望を孕んでいるのではないかと推し量る。
なぜなら今、人類は自殺に急いでいるのだ。
昨今のロシアによるウクライナ侵略戦争をはじめとし、各国に潜む紛争など、目先の利害中心主義による非人道的行為は、まさに人類という大きな視点からすれば自殺以外の何者でもない。
さらに世界各地で森林火災や豪雨、台風の巨大化などの異常気象が頻発、海水温度の上昇で氷河も溶け出しており、野生生物の種の絶滅も進んでいる。これらは全て人間活動の増大による地球環境への負荷である。こちらはニュースで被害を目にする機会があれども海外の発展途上国の例が多く、まるで他人事のように思われるだろうが、化石燃料の使用による温室効果ガスの排出、海洋プラスチックごみ汚染、開発による森林伐採など、実は私たちの生活に密接に関係するローカルな課題なのである。このため地球の環境が大きく変わり、人類という種が絶滅する未来も遠くないということに気づいているだろうか。
このまま気候危機への対策を打たずに、北極や南極、山頂の氷などが全て溶けてしまったら、海面は約66メートル上昇すると言われている。マイアミやブエノスアイレス、カイロなど海沿いに位置する都市が沈むこととなり、人類はその生活圏を大きく損なうことになる。同時に気候変動によって起こる、大規模な食糧不足や干ばつ、大洪水、伝染病、海洋汚染、記録的な熱波といった危機がもたらされる。これらの災害が戦争を引き起こしたり、経済崩壊につながると予測する専門家もいる。
人類は死に絶え、都市が海底に沈んだ世界。そんなディストピアを、警告の意味を込めて描く絵画シリーズ「COUNT DOWN」。各作品につけられたタイトルは完成日の日付のみで、いつか訪れるであろう地球の破滅から逆算してその日付を振り返らせるという意図が込められている。
20年以上、映像作家として活躍してある時から、現代美術家として活動を始めた清水さん、2019年のUNKNOWN ASIAでは時事的な出来事を彷彿させる現場にデジタルノイズが入るというコンセプチュアルな作品を描かれていました。その間、コロナの猛威が世界を襲い、ウクライナでは戦争が起こり、清水さんの絵も変化しました。人類が死に絶え、都市が海底に沈んでしまったディストピア。とはいえニルヴァーナへのオマージュがあったりとユーモアのセンスもぬかりなくお見受けしましたよ。