MIKI WANIBUCHI わにぶちみき

  • 絵画

ウェブサイト

https://mikiwanibuchi.com/

作品

CV

わにぶちみき 1981年大阪府生まれ。現在、大阪を拠点に制作活動中。
おもに「風景のなかにみた色を再現する」というひとつの行為を選択し、風景画という絵画のいち形態を端緒として、絵画の絵画たる所以をさぐることを制作のテーマとしている。

[ EDUCATION ]
2012 英国ボーンマス芸術大学大学院美術修士課程 修了
2004 近畿大学文芸学部芸術学科造形美術専攻 卒業
第27回ホルベイン・スカラシップ奨学生(2012-2013)

[ SOLO EXHIBITION ]2017年以降抜粋
2023 
FUKEI(gekilin./大阪)
2021 
REVIVE ii(gekilin./大阪)
2020 
REVIVE(gekilin./大阪)
2019 
DESK – Return to my roots.(Gallery OUT of PLACE/奈良/お留守番プロジェクトVol.16)
2017 
Stay beyond (the boundary)(艾維農 歐風素食×藝文書廊/桃園[台湾])
Stay beyond (the boundary)(札幌大通地下ギャラリー500m美術館/札幌)
 
[ PROJECT ]抜粋
2020 
鶉野飛行場跡アートプロジェクト「はなむけたむけ」(爆弾庫跡・対空機銃座跡/兵庫・加西市)
2019 
YOLO HOTEL MUSEUMに「Home From Home」という一室を制作(大阪)
2017 
森のステーションかめおか 匠ビレッジ「天然砥石館」モニュメント制作(彩色)のコミッションワーク(京都・亀岡市)
2016 
画家 池平徹兵氏の小児病棟でのワークショップにアシスタントとして参加(島根大学医学部付属病院)

[ GROUP EXHIBITION & ART FAIR ]2017年以降抜粋
2023 
六甲ミーツ・アート芸術散歩2023「Beyond」(六甲有馬ロープウェー 六甲山頂駅/兵庫・神戸市)
2022 
学園前アートフェスタ(旧福本家住宅/奈良)
The Other Art Fair LA 出展(The Barker Hanger/サンタモニカ[米国])
AGO Exhibition Session 3(CASO/大阪、企画:#ARTGOESON)
第49回現代美術ー茨木2022展「メタコンセプチュアル」(茨木市立生涯学習センター/大阪)
SICF23 出展(スパイラルホール/東京)
ART for Art’s Sake 7°(Virtual Artists/仮想空間・ロンドン[英国])
2021 
cumonos 連続企画「風景のvol.2」移調のみとおし(cumonos/大阪、企画:cumonos)
ホスピタルアート in ギャラリー(enoco/大阪、企画・主催:ひといろプロジェクト)
下町芸術祭(Sobani Omusubi/兵庫・神戸市)
2020
AGO Exhibition Session 1(Studio Diffuse Make+/大阪、企画:#ARTGOESON)
2019
ART EXPO MALAYSIA 2019(MECC/クアラルンプール[マレーシア])
鉱山(ヤマ)と道の芸術祭(神子畑選鉱場跡・旧神子畑小学校体育館/兵庫・朝来市)
2017
ART KAOHSIUNG 2017(シティ スイーツ カオシュン/高雄[台湾])
ART FAIR TOKYO 2017(東京国際フォーラム/東京)‘15

[AWARD]
2016
第5回500m美術館賞グランプリ

ステートメント・PR

◼︎作品(左/上)
LA2022-0917 (mix) (paint) (depict) / 25x50x4.5cm 3連作 / 2023 / 生キャンバスにアクリル

ひとつの風景を抽象化し3つの要素(mix)(paint)(depict)に分解した3つで1作品のトリプティク・シリーズ。こちらはコロナ禍が明け海外渡航が解禁になってすぐ訪れた、2022年晩夏のLAの風景を元にした作品です。

◼︎作品(中)
"REVIVE" Relieved Outside 12:39 29/11/2019 (mix) (paint) (depict) / 80x80x5cm 3連作 / 2022 / 生キャンバスにアクリル

ひとつの風景を抽象化し3つの要素(mix)(paint)(depict)に分解した3つで1作品のトリプティク・シリーズ。こちらは、胃の手術後自身にとって重要となった「食べること」についてのシリーズ“REVIVE”より、退院後初のカフェでのランチ風景を元にした作品です。

◼︎作品(右/下)
"REVIVE" Offering my thanks 15:39 13/11/2019 (mix) (paint) (depict) / 130x130x4.5cm 3連作 / 2021 / 生キャンバスにアクリル

ひとつの風景を抽象化し3つの要素(mix)(paint)(depict)に分解した3つで1作品のトリプティク・シリーズ。こちらは、胃の手術後自身にとって重要となった「食べること」についてのシリーズ“REVIVE”より、無事手術を終えたことを報告に行った近所の神社(“無事通り抜け参道”というのがある氏子の神社)の風景を元にした作品です。



わたしは、「風景のなかから色を抜き出す」と言う「風景画」の一要素にだけフォーカスした、風景画の抽象化を制作のテーマとしています。それは、子供時代からの連綿たる制作への動機であり源泉だからです。なぜ今になってもそれをつづけるのか、現代社会において風景絵画が必要とされるのだろうか、とその意味や意義を考えつづけています。

近年は、分解され抽象化された風景画が、それを読み解く時間をかけて観賞者に情報以上の「なにか」を伝えられるのではないかと考えています。描かれた風景が何かということ、絵の具や帆布の物質としての面白さ、描いた作家の身体性や個性などを含めたうえでの別の「なにか」。それは、余分なものを削ぎ落とした絵画をまえにして際立つ、観る人の想像する力そのものなのではないかと思っています。

最新のシリーズは、風景の記録写真をいちどデジタルで自動的にモザイク化し、その色をアナログで忠実に再現しようと試みることから始まります。風景から色を抽出するという一要素だけに焦点をあて作品制作を進めながら、そこで塗るための色は別キャンバスをパレット代わりにして制作。そうすることで、色を作るという無意識的で純粋なひとつの作品(mix)が生まれ、色を塗るという無心なもうひとつの作品(paint)が生まれます 。さて、風景画の意味を探るなかで、depict(描く、描写する)をもう一度定義できるだろうかということを考えるトリプティク(三連作)となります。

絵画の要素を分解し極限までシンプルにすることで、作品自体で起こる現象はとても些細なものとなりますが、だからこそ観賞者の感受性を引きだす時間と空間を創りだせるのではないかと考えています。そしてそれは、ITの発達した現代社会における風景の見方に対する問題提起でもあり、また、リアルとアブストラクト/アナログとデジタル/フィジカルとバーチャルの境界線を行き来しながら、パンデミック後のわたしたちの「世界をあるく」手法のバリエーションを静かに検証する作業でもあります。

わたしはそうして自身の作品を、観賞者に作品のそこにある意味や観賞者自身の美の感覚、向こう側を想像する能力を思い出させこの世界を豊かに捉えなおす手助けをする、ある種のトリガーまたは装置として機能させられることを願っています。



「風景」をもっとも素直にとらえた最新作は、六甲ミーツ・アート芸術散歩「Beyond」で展示予定です。わにぶちみきの進化の最前線をどうぞご覧ください!
https://rokkomeetsart.jp/artist/wanibuchimiki

実行委員コメント

メタセコイア23展示にご参加、ありがとうございました。風景を抽象化し、3つの要素に分解した連作を展示していただきました。スペースの都合もあり、もう少し広い空間でわにぶちさんの色の世界を表現していただいていたらと、ちょっと反省もあり。それでも展示されている作品は会場での空気を変えてくれるアトモスフィアに満ちていました。まだまだ進化、深化の可能性のあるわにぶちさんの色の解釈をこれからもフォローしていきたいと思いました。

美術解説するぞー 鈴木博文 審査員コメント

現実と絵画とメディウムを往復する世界観がとても良かったです。 コンセプトもビジュアルもとても素晴らしいと思います。

牧野圭 審査員コメント

「風景のなかから色を抜き出す」という一要素にフォーカスした風景画を作られているとのこと。また、「分解され抽象化された風景画が、それを読み解く時間をかけて観賞者に情報以上のなにかを伝えられるのではないかと考えて」いらっしゃる作品とのことでしたので、その観点でSNSやYOUTUBEなど色々拝見させて頂きました! 17世紀とはもちろん異なり、今は見たい風景を物理的に簡単に見に行くことができますし、自分が見た景色と異なる気象条件・季節の風景もググれば一瞬で見に行くことができます。 もはや風景画以前に、「風景を見に行くことの意義」も一部の人にとっては薄れつつあるのかもしれません。そうした時代において、風景をテーマとした絵画に敢えてチャレンジされ続けていることは、面白いなと感じました。 わにぶちさんの最新のシリーズについては、 ①現実世界(=風景)を、 ②デジタルで解析し、 ③アナログの手法でまた現実に回帰させている のかと存じます。 このプロセスを踏むことで濾過された「①風景」の本質のみが表層に現れるような気が最初は致しました。が、よく考えると「①現実→②デジタル」になった時点で「①現実」は消失しており、「②デジタル→③現実」に戻した作品では消失部分は復元できないのでしょう。 ただそれでも間違いなく鑑賞者には③で伝わるもの・いいと思う部分があるはずです。そしてきっとそれがわにぶちさんの絵画が、「絵画である必要性・本質」なんだと思います。 あくまで風景・抽象化・デジタルアナログの行き来、というのは手段であり、わにぶちさんは絵画の本質を追求していらっしゃるのかなと感じました。 実際の作品から鑑賞者が何を受け取ることができるのか、拝見するのが非常に楽しみです!

矢野裕子 審査員コメント

色を楽しんで、まるで実験のように表現を展開されている作品だなと感じた後、ステートメントを拝見し『風景画の抽象化』とあり、とても興味深く感じました。

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