リッチマン フィニアン

  • 彫刻
  • 絵画

作品

CV

略歴
1992 イギリスのロンドンでイギリス人の父、日本人の母の間に生まれる
1994 日本へ移住
2009 高校3年生で再びイギリスへ
2011 専門学校でFine Artを専攻
2015 City and Guilds of London Art ScoolにてFine Art科 学士過程修了
2017 同校にて修士課程
2018 日本へ帰国し作家活動を継続

展示
2013 ‘The Making’, Rag Factory, ロンドン
2014 ‘Why is a raven like a writing desk?’, Londonewcastle Project Space, ロンドン
2015 ‘BA Degree Show 2015’ , ロンドン
2017 ‘MA Show 2017’, ロンドン
2022 ‘第8回 Shibuya Art Award 入選作品展’, 代官山ヒルサイドテラス, 東京
2023 ‘第8回 Shibuya Art Award 受賞作品展’, 代官山ヒルサイドテラス, 東京
2023 ‘EPIC PAINTERS Vol.12’, The Blank Gallery, 東京

入選・受賞歴
2013 Royal Academy of Art London Original Print Fair, 出展 (ロンドン)
2016 Leverhulme Art Scholarship Award 受賞 (ロンドン)
2022 新ACTコンペティション novae 2022 入選 (東京)
2022 第8回 Shibuya Art Award 平泉千枝賞 受賞 (東京)

ステートメント・PR

私の作品のテーマは贖罪である。人は大人になる過程で、空想と現実が同義であり全能感に溢れていた頃の自分を裏切る。ファンタジーは死に、全能ではない事に対する罪の意識が芽生え、やがて「内なる子供」は、心のなかで居場所を失う。

私はバロック時代の西洋絵画に大きく影響を受けている。「ゴリアテの首をもつダヴィデ」- 殺人者となったカラヴァッジョの、懺悔の自画像である。その繊細な表現と表裏一体の暴力性は、激しい光と闇のコントラストにも見て取れる。私の胸を打ったのは、彼の抱える二面性が、ハーフとして生まれ二分化してしまった自身のアイデンティティや、或いは大人になった自分と「内なる子供」との二分化のことのように思えたからかもしれない。

日本の能面にも同様の共鳴を感じる。能面は、見る角度で表情が変わる。そのわけは、面が内包している多面性にある。例えば「般若」の面は、目元を隠せば口が裂けんばかりの怒りと、口元を隠せば目に浮かぶ悲壮とが合わさり一つの面になっている。

私が絵の題材にするために作っている彫刻にも、多くの感情が渦巻いている。怒り、悲しみ、慈しみ、孤独感、劣等感、喪失感。私の場合、彫刻だけでは散漫な自己表現になるため、それらの感情を絵画として切り出している。私にとって造形とはイデアの顕現化であり、描出は祈祷の一形である。それによって平面でありながらも立体物であるかのような、奇妙にアンバランスな作品が完成する。そのアンバランスさこそが、私のアイデンティティーの不安定さと共鳴している。

心の片隅から、ただ無力にこちらを見つめているだけの「内なる子供」。私の作品が、誰しもが抱える自分の「内なる子供」との対話のきっかけになることを願って制作している。

実行委員コメント

メタセコイア23展示にご参加、ありがとうございました。彫刻を絵画にするというアプローチは、瞳の強さ、絵の具の量感も相まって、原画を見た瞬間に伝わる説得力に満ちていて、展示をご覧になられたオーディエンスも魅了されていましたね。ロイドワークスギャラリー 井浦歳和 賞受賞で、アート業界に来年新しい風を起こしてくれることを期待します。

井浦歳和 審査員コメント

フィニアンさんの作品は、バロック芸術への敬意を込めつつも、独自の解釈と現代的な感性で新たな次元を開いていると感じました。繊細で力強い表現を通じて、自己探求と内面の対話が描けているように感じました。特に、別に制作された立体作品からのペインティングにより光と影の鮮やかなコントラストが感情の複雑さを映し出しているところが惹きつけられました。今後の制作に期待したい作家として僕の頭に残りました。

家入一真 審査員コメント

アニメのキャラクターのような・そうでないような。立体のような・平面のような。悲しんでいるのか・怒っているのか。悔やんでいるのか、どんな感情を抱えているのか。作品の画像を見た時、まず感じたことです。そして、そう感じたことはある意味間違ってなかったのだと(正解があるものではないですが)、ステートメントを読んで確信しました。リッチマンさんの出自も含め、これまでの彼の人生において抱えざるを得なかった「多面性」が作品に滲み出ているような気がします。

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