下村雄三

  • 絵画

作品

CV

1981 三重県生まれ
2005 愛知県立芸術大学    美術学部 油画学科 卒業
2007 愛知県立芸術大学大学院 美術研究科油画専攻 修士課程 修了
個展
2014 「HUMAN GROVE CRUISE」トーキョーワンダーウォール都庁2014 東京都庁
2016 下村雄三 個展  ギャラリーMOS
2020 Sunny line reflections ~陽だまりの線による反射~ アートカゲヤマ
2020 Berry Berry Spring  on line solo exhibition UZ3-M34 Gallery
2021 Painting Blues アートと珈琲のお店coma
2022 Gradation room ~上手な雲のつかみ方~ パラミタミュージアム 1階小ギャラリー
主なグループ展
2013 4th現代日本の視覚展 三重県立美術館 県民ギャラリー
2014 亀山トリエンナーレ ART KAMEYAMA 2014 亀山市歴史文化財旧舘家
   トーキョーワンダーウォール2014入選作品展 東京都現代美術
2015 Far East Alliance -エラーが生んだ六つ子達- Erewhon Center for the Arts
三重の新世代展2015 三重県立美術館 柳原記念館
2016 三重の作家たち展2016 三重県総合文化センター
2018 KAMEYAMA展 BANK BED GALLERY
2019 Independent Tokyo 2019 浅草ヒューリックホール
考察の痕跡と眺望 松菱美術画廊
2020 びじゅつじょろん2 藤枝市市民会館
2022 YOAKE Japan×korea  びじゅつじょろん4関連企画展示 アートカゲヤマ, inherit gallery
2023 アルスの風 装画作家展 津市久居アルスプラザギャラリー
賞与
2005 財団法人 佐藤国際文化育英財団奨学生
2006 財団法人 佐藤国際文化育英財団奨学生
2008 第1回 三菱商事ART GATE PROGRAM 入選
第2回 三菱商事ART GATE PROGRAM 入選
2014 アート亀山みらいアワード
トーキョーワンダーウォール賞
2019 ART OLYMPIA 2019 凖佳作
2020 ACTアート大賞展2020 入選
2022 Gates Art Competition -人物部門- 入選

ステートメント・PR

私は油彩、水彩、版画、ドローイングなどの平面と立体作品を組み合わせインスタレーションで、生命感、死の予感、個と個の出合いによる物語の誕生を鑑賞者にストーリーを委ねることで「生と死(死を知覚し生を強固に営む)」を主題に作品制作に取り組んでいます。

29歳の頃、脳腫瘍により覚醒手術を受けた。覚醒下腫瘍摘出術とは、脳機能を温存しながら脳腫瘍を摘出することを目的とした手術方法です。手術中に麻酔から覚醒させ、機能を実際に確認しながら腫瘍摘出を進めることで、機能温存を図ります。
この経験がきっかけとなり、こんなにも死が身近なものだったのかと気づき、命とは何かを問いかけるようになりました。何かを諦めて生きるにはまだ早すぎた。生きいて社会と関わりを持ち、様々な事象に一喜一憂できることへの感謝と、意識の深層心理にいつも付きまとう死への不安。
術後、記憶の混濁と善悪の判断基準を失った時期が1年ほどありました。それ以前の自分を取り戻す手段として、段階的な行為を積み重ねる仕事である絵を描くことを選び直しました。油彩を描く場合、完成を想定し行為の結果を逆算して工程を積み重ねます。その行為自体に救われたのかも知れません。

自然と遊ぶ時、心が開放され、姿は確認する事はできないが、そこに何か潜 んでいるような。ゾワゾワするような生命感や気配を感じる事がある。日本古来からある自然崇拝。あらゆるものに神仏が宿るとの考え方。妖怪や精霊など。そして、これは日本独自の文化ではなく、アミニズムにもみられるように、ある意味では世界共通で普遍性を持ったものであると考えます。 眼前に広がっていて手を伸ばせば掴めそうなのに、繋がっているようで全く別の世界が目と鼻の先にあり、捕らえ所のないそれに何とも言えない興奮とエロス(生への憧れや手応え)がある事に気付き、制作のコンセプトとして います。

一方でドローイングでは、あらかじめ描く対象を決めません。 心の赴くままつけられた絵の具の滲みや筆の軌跡などの偶然性に委ね受け入れたり、 反発したりしながら、その時の心の機微に注視し、内包された形を抽出するよう描きます。その手法は日本美術の琳派により考案されたとされる垂らし込みであったり、西洋美術のシュルレアリスムによるオートマティスム的自動記述やデペイズマンに由来しています。そして、それは精神療法のひとつとして、広く知られている ロールシャッハ・テストの要領に似ています。洋の東西を行き来する様に描くその手法は、その時の天候や季節、無意識のうちに 蓄積されたイメージ、その時の自身の心のあり様の影響をダイレクトに表出するように感じます。判断の連続の中でイメージの連鎖により紡がれるその物語は私自身予期できないもので、不意に妖怪や精霊の様な形が現れてきた時などはアミニズ ム的観点からユーモラスで愛らしさを感じるほどです。鑑賞者が不定形な形を繋ぎ合わせそれぞれの物語を紡いでいただけたらと思っています。

いずれの手法も自分には必要であることは言うまでもありませんが、適宜表現の必要に応じ選ぶことにリアリティと重要性があると感じます。

実行委員コメント

脳手術がきっかけとなり、死を身近な存在として認識されたという下村さんの描かれる作品は、たくさんの風景がレイヤーとなって重なっており、その中にたくさんの生き物が棲息しています。インスタグラムに最近作が多く掲載されているようにお見受けしましたが、主題を取り巻く森や風景の重なりが、観る人をここではないどこかに誘っているような幻想を感じさせてくれます。「帰り道」とうタイトルの作品はまさにその物語のイントロダクションのように感じました。

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