猪瀬暖基

  • インスタレーション

ウェブサイト

https://ins-doll.amebaownd.com/

作品

CV

学歴
2019年3月:盛岡第三高等学校卒業
2019年4月:筑波大学情報学郡情報メディア創成学類入学

出展歴
2020/2 第45回ima展
2021/2 Gallery Hydrangea「満たされない入れモノ」
2021/5 個展「テンセグリティと人形」
2021/6 Gallery  Hydrangea「子守唄を聴きながら」
2021/12 ディジコン~Beyond Internet~
2021/2 ディジコン再展示~Beyond Internet~

ステートメント・PR

人の形をしていて人でなければなんでも好きだ。私は筑波大学情報学群情報メディア創成学類にて研究活動や、学外で人形作家清水真理に師事を受け制作活動を行なっている。「人でない人の形」という言葉は人形という言葉を言い換えたものだ。しかし重要なのは人でないという点である。人の形をしたものが人でないことで得られる特権は数多くある。ここでは2点挙げる。1点目に研究において被験者実験に代わり、人形を用いた実験を行うことで倫理審査を受ける必要がなくなり研究サイクルをより早く回せるという点である。2点目に人間のように水やタンパク質のような素材に対する制限が少なく用途に合わせた選択をしたり、青銅などの素材を用い永続性を持たせたりすることができるという点である。そのため私は人形を被験者の代わりに使用する手法の研究や人形が持つ特有の性質について言及する作品の制作を行なっている。
その中でも今回応募した作品は人形とハードウェアの永続性に着目した作品である。陳腐化し寂びたハードウェアであるブラウン管テレビと人の顔の造形物が向き合っている。この二つの要素を用い、過去の遺産や偉業が現代まで残り劣化することなく真価を発揮する様子を表現した。ハードウェアと人形の永続性から視点を変えて過去から現代を見直すことを試みる。
所有物に対して愛着が湧き捨てられないといった経験は誰もが持っているだろう。小さい頃、持っていたぬいぐるみを無くし親に同じものを買い与えられても喪失感を拭えないという話は人形について議論をする際によく触れられる話題だ。物には固有に歴史があり使う中で人との関係性も築かれていく。ブラウン管テレビに対する現代における見方と開発当時の見方は大きく違う。それはブラウン管テレビ登場後さまざまな事柄が起こりブラウン管テレビに文脈を刻んでいったためだ。永続性を持つことで多くの歴史と文脈を刻まれ立場を変えていく。ブラウン管テレビは現代のテクノロジーから見ると高度でない技術によって作られ、経年変化や陳腐化していった。しかしブラウン管テレビが当時と遜色なく発光する姿は、我々にその変化すら美しいと感じさせる。
質量ある物質は経年変化を免れることができない。そのため経年変化を肯定し、その変化を美しく思えるような「寂び」をデザインしていくことで新しい価値が生まれていくと考える。

実行委員コメント

「人の形をしていて人でなければなんでも好きだ」とおっしゃる猪瀬さん。画像からビデオインスタレーションかと動画を探しましたが見つからず、サイトを拝見すると、ブラウン管テレビは、人形を演出するための素材であったのですね。掲載作品以外の作品も少なく、猪瀬さんの活動や作品がもっと見ることができるサイトやコンテンツがあればいいのになと思いました。

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