ノガミ カツキ

  • インスタレーション
  • 映像
  • 審査員賞JIKAN DESIGN賞

ウェブサイト

https://katsukinogami.co/

作品

CV

現代アーティスト
新潟県長岡市出身。
学生の頃から海外ビエンナーレ等に出展を行い17カ国での展示・上映経験がある。
アルスエレクトロニカや文化庁メディア芸術祭、ifva香港を始めとした受賞多数にBehind the Mac、Forbes U30、映像作家100人、フィンランドサウナアンバサダーに選出。VICEやWIRED、装苑などのメディアで作家特集が掲載。
2013年ベルリン芸術大学に交換留学、オラファーエリアソンのRaumexperimenteに所属。
2015年に武蔵野美術大学映像学科クリストフ・シャルルゼミを卒業。
2018年にカナダのコンコーディア大学のTopological Media Labに所属し、客員アーティストとして1年間カナダで活動。
2021年大阪に千島財団管理のパブリックワークを恒久設置。
主な展覧会に2017年、個展Foreign Bodys @Goethe Institute (上海)、
以下グループ展にWSK@ホールウェイギャラリー (マニラ) 、MediaAmbitionTokyo@六本木ヒルズ森タワー(東京)。WROビエンナーレ@国立美術館Wroclaw(ポーランド2019,2015)、2018年ELEKTRA@Arsenal Contemporary Art(カナダ)、Scopitone@ブルターニュ公爵城,Stereolux(フランス, 2016,2015)、文化庁メディア芸術祭@国立新美術館(東京,2015)、FILE SP@SESI-SPアートギャラリー(ブラジル,2014)等がある。
オーストリアのsubnetAIRsや日仏大使館の助成でのフランスScopitone等にレジデンス滞在。パブリックリソース財団 文化・芸術・スポーツ分野助成基金,2020
現代芸術助成 by Istyle Art and Sports Foundation,2019
文化庁新進メディア芸術家育成事業

ステートメント・PR

私は一貫して自分の外見、顔から形成されるアイデンティティをテーマに作品制作を行ってきた。
きっかけは留学中に受けた差別だ。外見で判断される事から逃げる様にインターネットにのめりこんだ。小学校の頃から女性を偽ってチャットをして、クラスメイトのブログを匿名で誹謗中傷していた自分にとって、オンラインとオフラインで別の自分がいる事は当たり前だった。しかし顔を見せる事なく、アバターを簡単に変更可能で責任感のない発言をする自由は、自分という存在に責任を持たない、自分のアイデンティティの喪失になっていた。
そこで、近年の制作では自分の存在を受け入れる為に自分の顔を受け入れるライフワークを始めた。元々コンプレックスのあった自分の肌、成長と共に感じる死への恐怖から、4年前から自分の肌日記をスキャナーで記録している。Instagramの様なSNSや化粧アプリで自分をいくらでも編集できてしまい、オリジナルの顔、身体の重要性が無くなる中で、自分を残したいと思ったからだ。今や全ての人がスマホを持ちカメラマンとなり、写真も映像も顔が主体となり記号的な画像が殆どだ。人が自分にどんどんレイヤーを重ねてしまう現代の欲望から、本来の自分を取り戻す試みになる。人間の目より良く見えてしまう機械のハイパーリアリティと組み合わせる事で、より物体性を高める事ができた。
そして、デジタル画像と生の身体を自然物に憑依させる事で、人間の有限の時間から自然の時間軸に魂を置きたかった。これは自然葬に近い。地蔵がどんなに摩耗して輪郭が見えなくなってもそれは地蔵であり、墓石の様な魂の記録媒体としての側面が石にはある。仏教では、石は現世の象徴として描かれる。それは、身体は魂を入れるだけの借り物であり、魂は天に上り、現世は重力に逆らう世の中であり、重力の象徴である石は現世の象徴なのだ。石は現世に永遠に残り過去への執着を、植物はより短い命を与える事で画像に時間を与えた。
COVID-19以降、オンラインでは満足できない物理的な欲望や、死への恐怖から自分の死後の作品の行方について考え始めた。インターネットの限界と言えるかもしれないこれは、映像作品を制作してきて複製可能な作品に感じていた虚しさにも繋がっていた。そして、同じものは一つとない自然物に憑依する事で画像に唯一性を与える作品をつくった。

審査員コメント(JIKAN DESIGN賞)

石というプリミティブでタイムレスな物体に日々のご自分の顔を転写した作品群、とても興味深かったです。自然や時間に対する人間の業・はかなさ感じました。映像出身と拝見しましたが視覚・聴覚だけでなく触覚や質量も表現に取り入れられていて、これからのご活躍が楽しみです。

実行委員コメント

■ 留学中に受けた差別がきっかけになり、ネットに逃げ込んだというノガミさんが、コンプレックスのあった肌の色も含め自分の顔というものに向き合い、石や植物などにそれを憑依させて街の中に溶け込ませていくというインスタレーションは会場で上映された動画も相まって、時にユーモラスに、怖いぐらいのアイロニーを見る人に与えてくれました。レジデンスをしていた京都も他所様にはとても冷たい場所。鴨川にならべられた顔たちは、そんな京都に対するノガミさんのアーティスト根性のようなものも感じさせてくれました。ユニバーサルな作品だと思います。JIKAN Design審査員賞。ノガミさんの作品をメタセコイアで紹介できて楽しかったです。

■ 初めて実際にノガミさんの作品を拝見しました。自分の顔を石や植物にプリントすることで自分の分身が別の人格となってその場所や環境で生きていく、、そんな時間軸のオーバーラップとズレを体感できる作品でとても見応えがありました。

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