作品



1997 年 東京都出身
2021 年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
現在 同大学院美術研究科絵画専攻油画技法材料 在学
展示 / Exhibition
ショートショート 東京藝術大学油画技法材料研究室修士課程一年展 (TURNER GALLERY / 東京 / 2022)
うしろのうしろ (REIJINSHA GALLERY / 東京 / 2022)
試験展示 -pre Exhibition-(KYOK / 東京 / 2021)
第 69 回 東京藝術大学卒業・修了作品展 ( 東京都美術館 / 東京 / 2021)
TURNER AWARD 2020 (TURNER GALLERY / 東京 / 2021)
みなかみ町長賞受賞者展示 ( 水紀行館 / 群馬 / 2021)
Tabula (KYOK art studio-gallery / 東京 / 2021)
EPIC PAINTERS Vol.7 (THE blank GALLERY / 東京 / 2020)
SICF20 ( スパイラルホール / 東京 / 2019) elbadaernu- 不可読 (STAGE-1 / 東京 / 2019)
ふれうれ (JR 上野駅 Break ステーションギャラリー / 東京 / 2018)
ゆがいたかいがおいしい?藝大油画1年五人展 (gallery I / 東京 / 2018)
第4回宮本三郎記念デッサン大賞展 ( 小松市立宮本三郎美術館 / 石川・世田谷美術館分館宮本三郎記念美術館 / 東京 / 2017)
汐留ストリートフェスティバル 2017 -SUMMER- ( 汐留シオサイト / 東京 / 2017)
はたちのりんかく - 二十歳の自画像コンクール展 ( 中札内美術村 / 北海道 / 2017)
受賞 / Awards
みなかみ町長賞 ( 卒業制作)
TURNER AWARD 2020 未来賞
はたちのりんかく - 二十歳の自画像コンクール展 優秀賞
現在、埼玉県と東京都にて制作
structure Ⅻ(mockument)
綿布、油彩、アクリル
130×97cm
ー 互いの存在を補いあう、在るものとその「うしろ」について ー
目の前に何かがあり、それを見るとき。何かを認識して、それを考えるとき。その何かを形づくる輪郭はまわりの空間、周囲の背景との変化やぶつかりや差異によって生みだされていることを、 我々はあまり意識しません。 そしてこれは、目に見える色や明るさの違いによって存在の輪郭を定めることだけに留まらず、 より広く普遍的な根拠だと捉えています。 あるものが存在することは、そのまわりの環境や世界との相互の関係によって成り立ち、それは 全てのものが互いがそこに存在することを補い合っていることだと考えています。
そこから、在るものの背景やまわりの世界を「うしろ」と捉え、制作のきっかけとしています。 うしろの存在を考えるイメージをつくりだすこと。図像や画面の中で、背景となっているものを 空間/意味の上でうしろに位置させたまま、絵の主題にさせる試みがこの制作です。
自分の制作の中心となるのは、「うしろ」への興味です。 自分の絵画制作では画面のイメージにおける ‘ 地と図 ’ という普遍的な構造に対して、見え方を反転させたり混同させるなど、その関係性を動かす表現を模索してきました。
特に、‘ 地 ’ とされる画面内での背景部分、主題に対して ‘ 後景 ’ に位置する存在に強い興味を持ち、 背景が背景となる構造、前景との相互の影響を制作の基軸にしています。
絵画面の中のイメージによってテーマを提示する制作と並行し、絵画の物体としての側面と、その成立、制作過程に目 を向けそれら絵画作品が内包するうしろをメタ視点的に作品とする試みです。
’Structure’ は、自身の制作である具象絵画の持っている性質や成り立っている構造に対して、改めて視点を向けそこか ら思考するものを基に制作しています。 木枠やパネル、麻布や綿布といった基底材を暴く様に提示したり、画面上に初めにパレットをつくり出し、そこに絵具 をチューブから絞り出して画面の中で混色し、画面の中のイメージを描いていきます。 絵具はパレットに絞られた状態ではマテリアル(物質)の側面を強く感じさせますが、それらが人や風景といったイメー ジ(図像)の認識として上回る変質の過程は、具象絵画の最も核となる特性だと考えます。
絵の中に絵があり、その絵の制作過程を含めて絵が存在する。そんな入れ子的構造の作品を作ることを作品化するというユニークなアート。それもリアルに描き上げることができる技量があればこそ。真ん中の写真のように、絵の中に描かれた構図のまま足下に画材が並びまで計算されているところが秀逸です。「絵画面の中のイメージによってテーマを提示する制作と並行し、絵画の物体としての側面と、その成立、制作過程に目 を向けそれら絵画作品が内包するうしろをメタ視点的に作品とする試み」というステイトメントを何度も反芻しましたが、さらに紐解いて表現されると奥山さんの意図するところが伝わると思います。