作品



兵庫県生まれ
武蔵野美術大学造形学部油絵学科抽象絵画専攻 卒業
[出展歴]
2004年 「存在展」 東京都庁(東京・新宿)
[受賞歴]
1999年 「第1回春風書画展」 特賞受賞
2003年 「トーキョーワンダーウォール公募2003」 トーキョーワンダーウォール賞受賞 2003年 「第5回風車の書画展」 特賞受賞
2008年 「第10回風車の書画展」 特賞受賞
2010年 「第12回風車の書画展」 特賞受賞
2011年 「第13回風車の書画展」 特賞受賞
2012年 「第14回風車の書画展」 特賞受賞
2015年 「第17回風車の書画展」 グランプリ賞受賞
2016年 「第18回風車の書画展」 特賞受賞
2017年 「第11回西脇市サムホール大賞展」入選
2020年 「第22回風車の書画展」 特賞受賞
私は日本人(東洋人)で、女性で、日本人の中でも変わり者といわれ、
受け入れるキャパシティ、多様性を世界に求めて少しづつ作品を作り続けました。
それが2005年頃からのアートワークであり今に続きます。
2005年頃から描きたい対象を決めて描くのではなく、素材に向かいどう反応するかで筆を走らせ、取捨選択を繰り返す中で二つ以上の具象化に進んだ時に筆を置く手順で制作を続けてきました。二つ以上の具象化は画面上で見れば抽象的に見えるはずです。これまでの制作でその塩梅について探ってきましたが今は意図的に抽象的な表現に留めています。
その画面に対峙し感じるもの、見えるものについて、その領域は鑑賞者のテリトリーであり、制作者はそこには関与しません。
制作コンセプトは多様性です。
多様性を認めることは、国家間、個人間、組織と個人どのような関係性でも、受け入れられなかったものを一旦取り込んでみる作業を必要とし、最後に突き放さず、共存の道を選ぶということです。そして他者の目を通して自分自身を確認することでもあるとも考えます。
これまでは絵画表現を通して平和で愛のある世界を描いていました。いじめや苦しみ、誤解、葛藤がない世界観を唯々描き続けていました。平和な世界を描くことで、戦争やあらゆる理不尽な差別や偏見に対して抗議の意味を表現してきたつもりです。
ロシアのウクライナ進攻が始まってからは、ウクライナの事がほとんど頭から離れずメディアやSNS等で惨事を目の当たりにし、憤りと怒りと悲しみが作品上で隠しきれなくなっているかもしれません。
今回提出した作品は全て侵攻後に書き上げた作品です。『the world』は画面に凹凸のマチエールがあり画面をずっと見続けていると凹凸が反転して見える錯覚が起こります。その相反する世界観で平和な世界と混乱した世界を表現しています。『そこにあるものはそこにあるのか』『誰がその喜びを奪うのか』はソフトクリームを食べていて、平和と混乱を強く実感しました。クリームは固体だが液体、気体にも変化し溶けて無くなり、拭き取られ、蟻に奪われてしまう儚い実態があるようなないような、だが確実に存在し、多くは人々を喜ばせている役目をしていて、戦渦では贅沢な品であるかもしれません。その享受し得たものが思い出せないような状況が生じるのは、欲望によって自身を正当化し必要なら平気で嘘をつき人々を巻き込み組織立って攻撃を加えるものがいて、それはいじめなどあらゆる争いに当てはまるケースが多いと思います。そしてそこには必ず苦しむ人が存在します。多様性の言葉には人々が見ている、あるいは見逃している世界観という意味も込めています。人々の見ている物事は、自分と同じとは限らないことは現在世界中で誰もが感じていることかもしれません。画面上のクリームらしきものは本当にクリームでしょうか。私がクリームと言語表現することでクリームに見えたかもしれませんが、実は別物かもしれません。画面に斜めのストライプが入っている理由は、画面の切り替わりを表現しており、別次元の世界観を表しています。同時進行的に他人と共有する世界は別世界であることが実は多いのかもしれません。多様性を認める世界は平和が前提にあります。世界に嘘や争いがなくなり、これ以上の苦しみが生まれないことを強く願います。これからも私は多様性をコンセプトに平和な世界を描き続けます。そして地球上から争いがなくなった暁には平和な世界の謳歌を画面いっぱいに表現したいと思います。
私的なことを超えて戦争や不条理、そして平和への渇望を作品を通して表現は真のアーティストですね。どんな時にあっても描き続けること、そしてステートメントの締めくくりの言葉に尊敬と共感を覚えました。当たり前だと思える日常をアイスクリームに喩えて、その形状の変化を情勢や心情や世間に喩えている視点や、それを覆い隠す描写もなかなかユニークです。強いて言えば、ステートメントに作品タイトルやサイズ、マテリアルがあると良かったかもです。インスタグラムを拝見してその情報が分かりました。