FRAGILE

  • 絵画
  • レコメンド笹貫淳子

作品

CV

2019年 多摩美術大学卒業
2021年8月 INDEPENDENT TOKYO2021
2021年11月 VINYL TOKYO 個展
2022年1月 KATSUMI YAMATO グループ展示

ステートメント・PR

「Fragile creatures」というシリーズで展開しているペインティングは、その全てに共通するテーマの一つとして生命のはかなさ、危うさ、壊れやすさを持っています。「Fragile」とは壊れやすいこと、はかないことを意味する言葉ですが、私のペインティングに登場する生き物たちはバルーンのボディを持ち、その名の通り、とても華奢な存在として描かれています。空気が込められた、薄い皮膜のボディしか持たない彼らは、非常に危ういバランスで生きているのです。そうしたふとしたことで損壊するかもしれない生命のあり方を描くことは、現実の生き物たちをとりまく状況のアレゴリーでもあり、あるいは彼らをそうした状況に置いている私たち自身へのサタイアでもあります。
時として私たちは無自覚的に、あるいは自覚的に、いくつもの生命から居場所を奪い去ります。私のペインティングは80年代以降のポップアートの手法を使い、一見すると可愛らしさが目に飛び込み、テーマにすえた死生観は感じにくいように設計していますが、生き物たちが置かれたシチュエーションもまた一見しただけでは見通しがきかず、普通には彼らが持っている可愛らしさだけがピックアップされてしまいます。またバルーンは、一般的には祝祭のような、華やかな場所を装飾するためのアイテムです。そうした大量消費的な価値観をイメージさせる工業製品を引用し、そこに生命のはかなさや壊れやすさの意味を与え、今日の私たちが繰り返し行っている生命の消費について、表面上の世界と実際の状況とをオーバーラップさせて示すことが、私のペインティングが持ちうる時代へのコミットメントなのです。

審査員コメント(笹貫淳子レコメンド)

3ニャンズの母として(うちも全部保護猫)、いわゆる日本のペット事情の闇の比喩と、それを起こす人間への皮肉と風刺が込められているテーマに共感します。本当に、、ねぇ。社会的なテーマを声高ではなくPOPアートの手法を用いて気づきをもたらすコンセプト作りの一貫性、そして何よりもPOPアートのアプローチで「愛でる」と「脆さ」を表現する多面的な表現に魅了されました。

実行委員コメント

「Fragile creatures」というタイトル、風船のオブジェというフォーマットで描かれるペットの「猫」や「犬」という存在が、命の儚さ、あやうさを表現しているという何層ものロジックに強く惹かれました。しかもアウトプットされた作風が今主流であるポップアートのフォーマットであることも消費社会の風刺になっていることも。作品としての強度も高く、一見軽やかでいてメッセージは真摯なFRAGILEさんの作品。アーティスト名からしてとても(こわれやすい)繊細な美意識で作品を制作されておられるのではと感じました。

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