小栗 舞花

  • 音楽

作品

CV

【作品「愛文鳥の別れを知るために」について】
※イヤホンやヘッドホンでの視聴をおすすめします。
※繊細な音に集中して鑑賞できるように、部屋を暗くして、暗闇の力を借りて視聴することをおすすめします。

昨年6月5日のちょうどお昼過ぎ、一羽の白文鳥がわたしの手の中で亡くなりました。
10年生きたので、人間でいうところのおばあちゃんでした。
年老いてなお常にまわりの環境に反応し続けていた彼女が、死を経て、呼びかけてすらなんの反応も示さなくなった瞬間に感じたものを、わたしは未だに説明できません。
彼女が生きて、そして亡くなるまでの10年の年月、両手の上を中心に感じてきたものをなるべく私情を挟まずにそのまま感覚的にまとめあげることにしました。
この静かな、空間と音、時間が調和して織りなす音楽に耳を澄ませてみてください。

【小栗舞花の作曲作品について】
舞台上演を前提とした音楽作品を作曲しています。
わたしの行っている創作活動は、音楽(作曲)だけど、ジャンルを超える手前にあるような、もしくはある意味でとても抽象的な音楽という位置付けができるかもしれません。
一言で言い表すことが難しいので、最近は要素を羅列して紹介しています。
小さな音/音色探求/間/揺らぎのある時間/音楽コミュニケーション(人同士の音のやりとり)/暗闇/アンプラグド(スピーカーを用いない、いわゆる生音)…etc.
こんな要素を含む、とても繊細な性質を持った音楽が立ち現れます。その繊細で脆い性格ゆえに、上演するためには観客も普段の演奏会以上に音楽を壊さないように神経を使わなければなりません。また、演奏環境やその場にいる全ての人のコンディションに音楽が影響されやすいことから、演奏指示書にはある程度その場で決める余白を残していて、上演中、奏者はみんなで空間(空間の特性,自分,他の奏者,観客,雑音)を感じながらその場で空間と音楽を調和させるように努力をし続けます。
こうした努力を超えた先に、わたしの提案する特別な音楽体験があります。こんな時代だからこそ、こうした脆くあやうい音楽が守られる場所がこれからも存在することを祈ってやみません。
記録では残念ながら叶いませんが、実際にその場に居合わせるとさらに、人がいるという演奏空間によって気配を感じることや、耳だけでなく全身で振動を受け止めるようなことも作品の一要素として感じることができます。

ステートメント・PR

【学歴】
2021年3月 国立音楽大学 演奏創作学科 作曲専修 首席卒業

【上演歴】
2017年9月 山澤慧 マインドツリー2017にて10代公募作品として選出 「ピッチ ピチ for cello solo」初演 (東京)
2018年8月 秋吉台の夏2018にて近藤譲氏、川上統氏、山根明季子氏、田中吉史氏の公開作曲レッスンを受ける 「座敷童子の居着く部屋で」 (山口)
2020年1月 久保田昌子&大石将紀 ジョイント・リサイタル にて サックスソロ曲「ゆ」初演 (東京)
2021年3月 国立音楽大学 作曲専修首席卒業, 有馬賞受賞
2021年7月 細川俊夫公開講座 作曲特別レッスン にて 「樹海になりたくて」 初演
2021年10月 第一回米田恵子国際作曲コンクール 応募 「ドミソの人たち」
2022年3月31日 第11回JFC作曲賞本選会 「誰かさんの産声」 初演 (神奈川)
2019年11月 国立音楽大学作曲作品展に選出 「海坊主のひそむ海」 再演
2018年11月 国立音楽大学作曲作品展に選出 「その犬は花咲かす灰に宿る」 再演
2021年12月 第11回JFC作曲賞 応募 「誰かさんの産声」 入選
2022年3月31日 第11回JFC作曲賞本選会 「誰かさんの産声」 初演 JFC作曲賞受賞(神奈川)
その他学内での発表多数。

制作の他、特殊な楽曲のパフォーマンスにも参加している。
2018-2021年度、毎年開催される学内主催の演奏会〈聴き伝わるもの、聴き伝えるもの〉シリーズにて、「マシナシオン」(アペルギス), 「プネウマ」(ホリガー), 「狩りのプッチーニ」(フィリディ), フルクサス作品に奏者/パフォーマーとして参加。
ホームカミングデイ2021にて「金魚オブセッション」(清水チャートリー)にボイスパフォーマーとして参加。
2022年3月 神奈川県立音楽堂主催 “新しい視点 ワークインプログレス“ にてささきしおり作品にドローイングパフォーマーとして参加 (神奈川)
2022年 7月2日 神奈川県立音楽堂主催 “新しい視点“ にてささきしおり作品にドローイングパフォーマーとして参加予定 (神奈川)

【受賞歴】
2021年3月 国立音楽大学 有馬賞受賞 (卒業時)
2022年3月 第11回JFC作曲賞コンクールにて 「誰かさんの産声」 がJFC作曲賞を受賞。

実行委員コメント

舞台上演を前提とした音楽作品を作曲されておられる小栗さん。旅立ってしまった愛する文鳥の写真にまず目を奪われ、動画を拝見したのですが、真っ暗の舞台の上で淡々と紡がれる音楽は永遠に続くのではと思わせるものでした。アートフェアの現場でなかなかこのような音楽家の活動を紹介するのは難しいのですが、チャンスがあればフルクサスのステージなど、ぜひ観てみたいです。京都で行われているブライアンイーノのインスタレーションは行かれましたか?

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