作品



経歴
2018年 京都市立芸大学美術学部美術科油画卒業
2022年現在 靱公園近くで勤務
出展歴
グループ展
2021年 sunabaギャラリー オルタナティブな具象Ⅱ
アーティストのインタビューを見るとよく原体験について語られている。小学生の頃、周りも自分も少女漫画雑誌を読んで育った私にとって美術の入り口のかなり手前にイラストや漫画があった。
少女漫画の目シリーズは大学卒業後、2年ほどのブランクを経て描き始めた。そのとき読んでいた『ときめきトゥナイト』の蘭世の目を描いたドローイングから、キャンバスに移そうと思い制作を再開した。
考えなく始めたが、自然と描きたいモチーフが広がった。『だぁ!だぁ!だぁ!』、『エンジェル・ハント』など、最近になって読み返した作品もある。少し前に平成リバイバルといったかたちで懐かしいものを目にする機会が増えたことも一つの影響だと思う。友達との会話でも懐かしいフレーズで盛り上がることが増えた。
アニメ・漫画的キャラクターや、キャラクター的な目をモチーフに扱う同時代の作家は沢山いる。人物や風景と同じように、そういったものにリアリティを持つ世代なんだと思う。私は少女漫画の目を物語から取り出して描いている。漫画にとって重要である物語は今の自分が扱うには余分な要素だった。だから髪の毛や服装、体型みたいな情報は出来るだけ削いで少女漫画の命と言われるキャラクターの目を扱う。それらは漫画家たちがオリジナリティを確立するために生み出した造形で、目一つでその作品の時代を測ることができたりする。そう考えると、タイムカプセルのように紙に埋められた宝石に思える。
ただ当時あこがれたものを今見返すと、ちっぽけな子どもだましに感じることもある。誰だっていろんなものが空っぽに感じる時期があると思う。しかしたのしく生きるためにはなんらかの意味付けを行い、世の中にうまく接続をする方が良い。私は作りものの、恋や夢にときめく少女たちが輝いて見える感覚を持っていたい。(もちろん思想が合わない作品も存在している。)
漫画はキャラクターとストーリーがあって、意味を持つ。そのキャラクターの一部分のみを取り出し意味を削ぎ落としたビジュアルとして提示したい。そこに描かれているのは、目のような絵の具の集積。作品の中に込められた物語などが語るのではなく、絵の具や色が語るようにしたい。
そうして描いた先に、あのとき幼い私が見つめていた目たちをあらためて見つめ、見つめられたりするような空間を作りたいと思っている。
昔から少女漫画に出てくるキャラクターの目というのは、子どもたちの憧れを映すようにひたすらキラキラと輝いていたように思います。レイレイさんがそんな少女漫画の「目」に着目したのは、そのアイコンだけを取り出しても作品として成立するかという実験ではないかと思いました。「物語などが語るのではなく、絵の具や色が語るようにしたい」というコメントを見ながら作品を見ていると目がなんだか別のものに見えてくる錯覚に陥りました。