作品


野口哲司 (のぐちてつじ)
2000年.東京に生まれる
2020年.日本大学芸術学部写真学科 入学
2022年.東京藝術大学 科目等履修生 入学
ジュエリーデザイナーの父の影響を受け、広告写真家を志す。また写真という言語を介さない表現方法に心を惹かれ日本大学芸術学部写真学科に入学。大学1回生の春季休暇を用いて3ヶ月間、自身が最も尊敬する広告写真家「HIRO KIMURA」氏の元で撮影助手を経験。そこで培った技術力の蓄積を活かし、現在は化粧品を取り扱うDHC株式会社で学生フォトグラファーとして契約を結び活動を行う。また個人でも専門学校のパンフレット掲載、Youtuberの撮影、劇団のフライヤーやメインビジュアルの撮影などの広告系活動を精力的に行う。
また近年では作家としての作品制作にも力を入れており、学業と並行し作品を制作・発表している。
活動例としては役者である堺雅人などを輩出した早稲田大学演劇研究会を長期密着撮影し、1つの舞台が台本を刷る部分から公演までの物語を収めた写真作品群「蛮勇」その2次作である「怪葬」や水中での少女とのつながりを表現した「You and I are connected, by air, earth and water」や与那国島でのドキュメンタリー写真作品群「大地に根を張り、風を越え」などが挙げられる。
題名:「大地に根を張り、風を越え」 分類:写真・ドキュメンタリー作品
日本最西端の島である与那国島へと向かった。
私にとって写真を撮影することは生きることであり、撮影の対象物は自分の写し鏡となる。
そして自分を包み込む環境は作品に対し大きな変化と新たな感性をもたらす。
土地によって存在する人間や動物や植物の形は様々に異なる。
これらを形作るのは風であり、地を這う陽の光であり、目に沁みる藍色の海だ。
この作品は私と私を包み込んだ環境との境界線であり、私の形である。
日本最西端に位置し、東京から2000km、沖縄本土から650km、台湾から100kmに位置する与那国島。その為天候は台湾に属し、私が訪れた1月−2月は雨季であった。人口は約1600人。島は車で約1時間で1周出来てしまうほどの小さな島である。それ故に古来より独自の文化を持つ。
この島の風土を全身で体感し、私が被写体として向き合ったのは野生でこの土地に生きる「与那国馬」である。彼らは日本在来馬8馬に数えられており、1939年の日本在来馬と洋種馬の交配を推進する種馬統制法の施行から逃れた歴史を持つ馬である。この広大な大地に根を張り、激しい海風にも打ち勝つ、彼らのしたたかさ。またどんな生き物でも広く包み込む慈悲深い優しさと美しさを表現した。
また、今回の撮影では中判フィルムカメラであるPENTAX 67 IIを使用した。
フィルムカメラで撮影した写真の中には「生命の躍動を感じさせる存在感」があると私は考える。
即座に写像を見ることが出来きず、ピントや感度などほぼ全ての機能を手動で操り、撮影できる枚数も決まっている。
だからこそ、1枚の写真に対する時の流れと感情の揺らぎにより真摯に対峙することができる。
日の出から日の入りまでの12時間を激しい雨風に打たれながら彼らと共に過ごした。
数週間程の時間を彼らと共に行動し、時にはあたたかな身体に包まれ、雨風の間に稀に顔を出す太陽の輝きへの喜びを分かち合う日々であった。
力強く、魂のこもった息遣いを感じながら、私は静かにシャッターを切った。
2000年生まれということは22歳。東京藝術大学 科目等履修生という現役の学生でありながら、すでに写真家として仕事も受けながら、被写体を綿密に取材し、ドキュメンタリー写真家として活動しているなんてすごいですね。(テキストを読ませてもらっての感想ですが)与那国島まで行って取材、撮影された馬の写真2枚しか見れませんでしたが、野口さんの被写体に向かう姿勢が良く伝わってきます。これからが楽しみです。ホームページ等作った方がいいですよ。